【報告】愛知県におけるカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致に関する反対決議について
2026年7月2日
近年、オンラインギャンブル等の普及により、ギャンブルを取り巻く環境は大きく変化しており、依存症問題や多重債務、生活困窮といった社会的課題が顕在化している。これらの問題は、利用者本人のみならず、その家族や周囲の生活にも深刻な影響を及ぼすものであり、社会全体として適切に対応していく必要がある。
このような状況の中、国は統合型リゾート(IR)整備を進めており、愛知県にあっても、常滑市の中部国際空港島にカジノを含むIR誘致について、具体的な検討及び事業者募集が進行中である。
IRについては、観光振興や地域経済への波及効果が期待されるとの指摘がある一方で、ギャンブル依存症の拡大や地域社会への影響を懸念する意見も少なくない。とりわけ、インターネット環境の進展と相まって、ギャンブルへのアクセスが容易となっている現状を踏まえると、その影響については慎重かつ多角的な検討が求められる。
愛知県においては、愛知県精神保健福祉センターがギャンブル等依存症対策の中核機関となり、関係機関との連携体制の構築を進めている。その中で、愛知県司法書士会も、多重債務問題への対応や「司法書士による暮らし相談」等を通じ、ギャンブル等依存症に関連する生活困窮問題への支援に継続的に取り組んでいる。
司法書士は、国民の権利を擁護し、自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする法律専門職である。日々の実務において、多重債務、生活困窮、家庭問題等、ギャンブルに起因する社会的課題に接していることから、その経験と責務に照らし、ギャンブル依存症問題の拡大について重大な関心を有するものである。
よって、愛知県司法書士会名古屋中央支部(以下、当支部という)は、愛知県におけるカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致について、ギャンブル依存症をはじめとする社会的影響に十分配慮し、極めて慎重に判断されるべきであるとの立場を表明するとともに、現時点においては誘致に反対する意見を表明する。
あわせて、以下の事項を求める。
一 愛知県は、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致について、社会的影響を十分に検証し、慎重な検討を行うこと
一 国及び地方公共団体は、ギャンブル依存症の予防及び被害者支援の充実に一層取り組むこと
一 オンラインギャンブルを含むギャンブル被害の実態把握及び対策の強化を図ること
当支部は、今後も市民生活の安定と権利擁護の観点から、以上、決議する。
令和8年5月15日
愛知県司法書士会名古屋中央支部令和8年度定時総会
議案提出者
水谷英二
出田真太郎
若山史弥
岡本寛之
笹島孝広
羽多野健一
北山海威


