和田 博恭 先生

和田 博恭 先生

名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第9回目は、高校の授業をきっかけに家業の料理人から法律家へと道を変え、被災地での相談会にも尽力する和田 博恭 (ひろゆき)先生です。

 

ーー子どもの頃の夢はなんでしたか?

 

うちの実家は祖父の代から仕出し弁当屋をやっていたので、小さい頃から「同じように料理人になって家業を継ぐんだろうなぁ」と思っていました。

 

高校は商業科に行き、「商業法規」という授業で初めて法律をじっくり学びました。中身はもちろん独特な条文の言い回しなどに魅力を感じ、すっかり興味が法律へ向いてしまったんです。

 

高3になって父親に「法律関係の勉強がしたいから大学へ行かせてほしい」と打ち明けたら、「別にいいよ」とあっけなく(笑)そこで、夜間大学の法学部に入学しました。

 

ーー司法書士試験までの道のりは?

 

法律関係の仕事=弁護士というイメージだったので、まずは昼間に働く場所として弁護士事務所を当たりました。しかし18歳の若造をすぐに雇ってくれるところはなく、とある弁護士の先生から司法書士事務所を紹介してもらいました。

 

そして、司法書士事務所で事務員(補助者)として働くうちに、登記や裁判関係などといった幅広い業務があることを知り、この道を目指すことにしたんです。

 

働きながら勉強して4回目で合格。答案練習会などは受講しましたが、ほぼ独学でしたね。父親に報告したら驚いていました。「どうぜ途中で根を上げて戻ってくるだろう」と思ってたようです(笑)

 

 

ーー合格後について

 

実は、事務員のときからこの場所で働いているんです。

司法書士になって数年後、独立をして地元の一宮市へ凱旋帰国したんですが、当時のこの事務所の代表が倒れてしまって、約1年で戻ることになりました。

 

そこから看板を変えて、この地に腰を下ろして司法書士として活動させていただいています。

 

ーー仕事のやりがいはなんですか?

 

今でも日々学ぶことがあります。僕たちの仕事を通して依頼者の方がどんどん変化するのを目の当たりにすると、私たちも一緒に成長できていると実感します。

 

以前、職場見学に来てくれた中学生に「司法書士は、血も涙もない六法全書に血と涙を通わせる仕事だよ」と説明したらポカーンとされましたが…(笑)

 

ーー印象深いエピソードは?

 

消費者被害の案件で、他の事務所から断られ続けてうちに来たご依頼ですね。内容を聞いてみて確かに回収は厳しいと思ったけど、怯えている相談者の方を見て、闘うことに意味があると思ってお受けしました。

 

勝ち負けや結果も大切だけどそれがすべてではなく、相談者の方が前に進むために答えを出すことも必要なんです。初めて法廷に立った案件でもあるので印象深いですね。

 

苦労したエピソードは…どれもこれもです(笑)とにかく一生懸命やることが大切ですね。

 

 

ーー仕事のポリシーや座右の銘はありますか

 

「現場重視」です。

平成7年に阪神淡路大震災があったとき、崩壊した家屋などの手続きが必要だと思って、「相談会をやるぞ」と、必死に勉強をして神戸の街へ出かけました。でも被災地で役に立ったのは、大量の資料なんかじゃなく軍手と運動靴。「これ運んで」「ちょっと手伝って」そういったサポートの方がよっぽど必要だったんです。

 

遠く離れた場所でどれだけ議論しても、現場は違うことを思い知らされましたね。東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨もまずは現場に行って「なにか困ってない?」から始まり、雑談のなかで困りごとが聞けるようになりました。

 

僕たちのスキルややってきたことが少しでも不安解消になるなら本望ですね。今でも震災や災害が起きると、いても立ってもいられず現地に出向いてしまうので、まずは落ち着くように周りに止められています(笑)

 

ーー愛知県司法書士会の会長経験について

 

20年前に先輩に引き込まれて理事をやり、そこから副会長、そして会長は6年務めました。当時は空き家問題が明るみになる前でしたが、所有者不明土地の解決のために「オール愛知」を掲げて他支部との連携にも力を注ぎました。

 

僕が司法書士になった頃は法務局に出向くことが多く、そこで他の司法書士と会って世間話や相談などをしていましたが、だんだんそういう機会もなくなってきました。さらにオンライン化やコロナの影響もあり、集まりがどんどん減っているのは寂しいですね。

 

 

ーーオススメの本はありますか?

 

【図解・相続登記事例集/河瀬 敏雄】

【阪神・淡路大震災の法律相談/阪神淡路大震災救援司法書士対策本部

【3.11大震災の記録 中央省庁・被災自治体・各士業等の対応/震災対応セミナ-実行委員会】

 

ーー趣味や息抜き方法を教えてください

 

ここ5年ほど健康のために毎朝5キロ、休みは10キロのジョギングをしています。

 

休日に時間があるときはアコースティックギターを弾いたり愛犬と遊んだり。ほかにも釣りや料理などもしていますよ。

 

ーー今後の目標はありますか?

 

今はちょうどアフターコロナに向けた過渡期ですが、新しい生活様式や電子取引にも対応できる体制をつくりたいですね。かと言って簡素化ばかりでなく、丁寧さや人との関わりの部分は残したハイブリットな形を模索しています。

 

うちは司法書士2名と事務員2名のこじんまりとした事務所ですので、ざっくばらんな雰囲気でやっていけたらいいなと思っています。

 

ーー和田先生、ありがとうございました!

 

 

取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com

インタビュアーより

とってもダンディーで優しい口調の和田先生。阪神淡路大震災後の現地で経験した悔しい思いを「現場主義」というモットーに変え、目の前の依頼者さんに真摯に向き合っておられます。空き家問題という難しい話題も丁寧にわかりやすく説明していただきました。ありがとうございました。

 

※インタビューの内容は2021年11月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。

 

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司法書士名 和田 博恭 先生
所属事務所 和田司法書士事務所
住所 〒461-0011
愛知県名古屋市東区白壁2-1-23 吉田ビル1階
電話番号 052-971-4182
WEBアドレス https://www.h-wada.com/

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