田中 慶二郎先生
名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第29回目は、名古屋市東区にある「車道司法書士事務所」の田中 慶二郎先生のインタビューです。
ーー前職について教えてください
工業大学を出て、土木設計会社でゴルフ場や砂防ダム、道路などの図面を書いていました。でも平成になると不況が続いて、公共事業の予算が切られるようになってしまったんです。会社もリストラが続くなど良くない状況だったので、下請けなどに転職などしながら、結局ひとりで独立することにしました。
そこからゆるゆると40代になってしまって「このままではまずい」と、独立が可能な強い資格を取ろうと思いました。
ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?
まずは本屋に行ってみると、棚一面に司法書士の本が並んでいました。司法書士の仕事は何も知りませんでしたが、なんとなく大変そうで面白そうだと思って、本を買って独学で勉強を始めたのがきっかけですね。
ーー試験までの道のりを教えてください
最初は、試験の記述式問題がハイレベルで楽しいと思いました。1年目の試験はさっぱりわかりませんでしたが、3回目の受験が好感触だったので「これは続けていけば受かるな」と思ったんですけど、本番の記述式で失敗を繰り返して、数点足りないっていうのが3年続いちゃったんです。
いま思うと、ずっと独学でやってしまったのは要領が悪かった気がします。結局6、7年目でようやく予備校の答案練習会を受けましたが、やっぱり解説がついているのは良いですね。
ーー受験勉強や試験でのエピソードについて
当時は仕事を続けながら、生活できるぶんだけを稼ぎながら勉強を続けました。
模擬試験と解説の読み込みを繰り返しているとだいぶ見えてきて、答案練習会や模試ではだいたい全国トップクラスでした。知識としてはもう充分足りていたし、当然仕上げてから受験に臨むんですが、いつも記述式でミスをしてしまうなど、本当なら解けるものが本番では解けない状態が続きましたね。
受かった年は8回目の挑戦でした。自分としては普段より出来が悪い印象だったので、ミスをしても合格できるくらいの高いベースまできていたんだと思います。
ーー合格後について
平成25年に50歳で合格しました。そして次の年に簡裁代理権を取って、10月に開業。とは言え仕事はなくて時間があったので宅建の試験を受けて、11月には行政書士の試験も受けました。まだ勉強の蓄えがあったおかげでストレートで合格しました。
開業したらどんどん仕事が来ると思っていましたが、実際はどんどん貯金が減っていきました(笑) それで、早いうちから司法書士会の会務をやったり、リーガルサポートの研修を受けて成年後見の仕事をやったりしましたね。
そういったものを少しずつ増やしていくとまた他の仕事にもつながりが出てきて、当時のご縁から今もずっと続いているお仕事もあります。
ーー司法書士の仕事について
最初は、司法書士は書類関係の仕事が多くて気楽そうなイメージを持っていましたが、実際仕事をしてみると勘違いでしたね(笑) 書類よりもコミュニケーションが大事な局面が多くて、私はどっちかと言えば苦手だったので…でも、全ての仕事に共通してコミュニケーションは大切で、避け続けてたらダメだと思うんです。
私も相談会や委員会などなるべく積極的に参加しているうちに、少しずつ苦手意識が解消されていきました。人と関わりたくないから1人でと思っていたって、仕事はつながっていかないですもんね。
あと記述式試験って、複雑な事情を聞き取って整理して書面を起こしていくっていう、まるで実務のようなシーンが問題になっているんですけど、実際にはそんなドラマチックなケースはほとんどないです(笑)
ーー司法書士のやりがいは?
私たちにご相談していただく方は、すでに困っていたり弱っていたりすることが多いです。なので、依頼者に感謝していただけると少しは人の役に立てたと嬉しく思いますし、困難を乗り越えたときには達成感も感じます。
ーー力を入れている分野はなんですか?
相続案件や成年後見ですね。相続関係は割と好きで、調査して戸籍を収集して、相続関係説明図をつくって…という作業は、設計の仕事とも通じるものがあって楽しいですね。
ちょっと古い戸籍って文字が読み取れないんですよ。それを解読してつなげてげていく作業は魅力的です。
ーー苦労したエピソードはありますか?
以前はなにか不安なことがあると眠れなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまうことがありました。
この業界では、家事事件研究委員会の委員長や支部の副支部長を務めさせていただいたり、苦手にもかかわらず講師などを任されたりするときなどには苦戦することもありますね。前に母校の高校で消費者トラブル対処法について講演をさせていただいたんですが、それが一番緊張しましたね。
ーーポリシーや座右の銘を教えてください
常に謙虚であるように心がけています。
ーーオススメの本を教えてください
日常的には本を活用することはあまりないんですが、遺産分割や離婚調停、相続に関する本は増えていますね。
ーー趣味はなんですか?
もともとサッカーをやっていましたが、いまは草野球やランニング、ハイキングも好きですね。一時期、毎週土曜日に友達と東海自然歩道に行っていた時期があって、愛知県ルートと岐阜県ルートを制覇しました!自然のなかで食べるお弁当は本当に美味しいですね。
アウトドア派なので、休日も家でゴロゴロしているということはなく何かしら体を動かしています。
ーー今後の目標は
ひとりで気楽に仕事をしている反面、自分に何かあった時のことを考えると…なにか考えていかなきゃいけないなと思っています。
のんびりと続けながらも自分を甘やかさず、邁進していきたいですね。
田中先生、ありがとうございました!
取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)
インタビュアーより
土木設計業界から司法書士に転身された田中先生。7年の受験期間の振り返りや反省とともに、かつて抱いていた司法書士という仕事ヘのイメージと実際の業務とのギャップなども語っていただきました。支部会業務や研究会を通じてご縁がつながっていったという話は、他の先生方にも参考になると感じました。
※インタビューの内容は2023年1月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。
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司法書士名 | 田中 慶二郎先生 |
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所属事務所 | 車道司法書士事務所 |
住所 | 〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵3丁目3−8 サンアピック601号 |
電話番号 | 052-325-7068 |
WEBアドレス | https://kurumamichi-souzoku.com/ |