水谷 英二 先生
名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第22回目は、愛知県名古屋市北区にある「水谷司法書士事務所」の水谷 英二先生のインタビューです。
ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?
法学部だったことで法律を活かした仕事がしたいと考えて、独立して開業できる職業を探していました。そんなときに司法書士が国家試験になったことを知り、調べてみると登記や裁判など幅広い業務ができるとわかり、司法書士試験を目指すことにしました。
ーー試験までの道のりを教えてください
大学卒業後すぐに司法書士事務所で補助者として勤務しました。合格を目指して本気で勉強に専念したいと思い、1年で退職して、23歳のときに3回目の受験で運良く合格することができました。
ーー受験勉強について
専門学校の答案練習会に毎週参加して、受験仲間と一緒に受験ゼミや合宿などをしていました。今でも懐かしい思い出ですが、よく集中力が続いたと思います。少なくとも1日10時間くらいは勉強しましたね。
ーー合格後について
合格してすぐに土地家屋調査士事務所に入り、1983年からは北区で司法書士と土地家屋調査士の合同事務所をはじめました。といっても最初は司法書士の仕事はそれほどなく、調査士さんの測量の手伝いをしているうちに、ご紹介などで仕事をいただくようになりました。
1991年に独立して、2002年からは現在の大曽根駅近くに事務所を移転して業務を行っています。
ーー司法書士のやりがいは?
司法書士を目指した時から「司法書士として仕事をするなら、積極的に裁判事務もやりたい」と思っていました。クレジット・サラ金関係の事件を受託するようになって、破産や調停の裁判手続きをするようになりました。今の司法書士には簡易裁判所の代理権がありますが、私の開業当時は書類を作成して裁判所に提出をしていました。
そんな経験もあり、登記、訴訟、家事事件などいろんなことができるのが司法書士の魅力だと思っています。やりがいと言えば、相談者様と一緒に考えて解決後、喜んだ顔で帰っていただけることが一番ですね。
ーー印象深いエピソードは?
ヤミ金関係の案件を多く受任していた2002年に、ヤミ金業者が勝手に頼んだ寿司やピザが事務所に届いたり、自宅や近隣の方々にまで嫌がらせがありました。ニュースでも大きく報道されたおかげでヤミ金業者は逮捕されましたが、そこに行き着くまでにも刑事や検察官と話をしたり、東京地裁にヤミ金業者の刑事裁判を傍聴に出かけたり……いい経験になったと思っています。もっとも今でも家族には頭が上がりません。
あと、地裁で本人訴訟支援をしたところ、相手方の代理人弁護士から非弁行為ではないかと訴訟無効を主張されて、証人尋問に立ったことがあります。「こんなところで負けたら司法書士の裁判事務ができなくなる」と思って頑張りました。なんとか完全勝訴で解決しましたが、ものすごく苦労したエピソードですね。
ーー司法書士業務以外の活動について
1994年頃から、サラ金・ヤミ金に関するご相談が増えてきまして、当時の私は司法書士の青年会で活動していた関係で、他県の先生から「愛知県でも多重債務者の救済団体をつくれないのか」という話がありました。そこで、実態を調べようと弁護士さんとも協力して「クレサラ110番」という電話相談会を開催することにしたんです。新聞の小さな記事だけで2日間で208件もの相談があり、ものすごい反響に驚きましたね。
その年に名古屋公会堂で「全国クレジット・サラ金被害者交流集会」という参加者500人の催しをして、私は裏方の手伝いをしました。そんな経緯から、1994年に多重債務被害者の方々を支援するボランティア団体「愛知かきつばたの会」を結成することになったんです。当時は今と違って多重債務の相談窓口が少なく、困っている相談者の方が大勢おみえになりました。現在も、当事者の方や司法書士仲間と協力して相談交流会を継続しています。
全国の弁護士さんや司法書士仲間と交流することも多くなり、そのおかげで、日司連や出版社の多重債務相談マニュアル関連の書籍への執筆にも共著で携わってきました。
困った人を救済する市民団体を結成することや携わっていくのが好きで、愛知かきつばたの会の他に、現在は、生活保護利用に困っている方の相談をする「東海生活保護利用支援ネットワーク」、奨学金の借金のことで困っている方々の相談窓口である「愛知奨学金問題ネットワーク」の事務局をしています。その他「全国クレサラ・生活再建問題被害者連絡協議会」、「公正な税制を求める市民連絡会」、「つながる社会保障サポートセンター共同代表」、「NPO法人名古屋成年後見センター」という団体でも活動しています。
いろいろな団体で相談や運動に関与していると、司法書士は社会に生かされていると感じます。生きがいはやっぱり、依頼者さんに感謝していただき、自分の存在が誰かの役に立っていると思えたときですね。仕事以外の活動で知り合った方々とのご縁も、大きな財産になっていると実感しています。
ーー事務所の雰囲気はいかがですか?
現在、司法書士が2名、事務スタッフが4名のアットホームな雰囲気で、楽しく仕事をさせてもらっています。スタッフ一人ひとりが責任を持って仕事をしてくれていると思います。
ーーポリシーや座右の銘を教えてください
「誠心誠意、常に感謝を忘れない」ということですね。
ーーオススメの本を教えてください
【検事の本懐/柚月裕子】
【君の思いは必ず実現する/稲盛和夫】
稲盛さんの本は、人生の指針とさせていただいています。その他好きな作家は、山崎豊子、葉室麟、柚月裕子、中山七里、藤沢周平など。年間100冊くらいは読むように心掛けています。
ーー子どもの頃の夢は?
小学校5年生の頃、ちょうど人類が初めてアポロ11号の月面着陸したのをテレビで見てワクワクした覚えがあります。それに憧れて、卒業文集に「宇宙飛行士になりたい」と書いていました。
ーー趣味はなんですか?
読書が好きでよく図書館に行っています。それから、大学で囲碁をはじめて囲碁三段の免状をもらいました。今はAIが盛んですが、オンライン対戦もできます。囲碁は頭の体操に良いしルールは簡単なので、すぐに覚えられますよ。それから、健康のためジョギングもしています。
今は、名古屋中央支部の【名古屋ARC(ランニングチーム名)】にも入っています。かっこいいユニホームが気に入っていて、マラソン大会にもいくつか参加したことがあります。ランニング練習会では、走りながら司法書士仲間と仕事の情報交換や相談をすることも多く、とても役立っています。
それから、5年前から朝日新聞の天声人語の書き写しノートを毎日続けています。気になる記事や囲碁の名人戦などの棋譜のスクラップをしたり、日記などを書くことに利用しています。
ーー今後の目標は
来年で司法書士となって40周年を迎えます。
まだまだ裁判事務、訴訟や消費者問題に取り組む司法書士が少ないので、それらに取り組んでくれる司法書士を増やしたいと思っています。あとは、体力・知力・精神力を鍛えて、生涯現役を目指すことですね。
水谷先生、ありがとうございました!
取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)
インタビュアーより
穏やかな物腰と語り口調でありながら、強い信念を持って依頼者に寄り添い続ける水谷先生。司法書士としての通常業務に加えて、数多くのネットワークや団体にも携わっていらっしゃいます。司法書士の権利である裁判関連の経験も豊富なので、心強い味方になってくれるはずです。
※インタビューの内容は2022年9月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。
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(希望者多数の場合、ご希望に沿えない場合もございますのでご了承ください。)
司法書士名 | 水谷 英二 先生 |
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所属事務所 | 水谷司法書士事務所 |
住所 | 〒462-0810 愛知県北区山田一丁目1番40号 寿ゞやマンション大曽根2F |
電話番号 | 052-916-5080 |
WEBアドレス | https://www.mizutani-web.com/ |