伊藤 彰英先生
名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第36回目は、名古屋市中区にある「司法書士ANSリーガルオフィス」の伊藤 彰英先生のインタビューです。
ーー学生時代について教えてください
子どもの頃は「毎日ラーメンが食べたい」という理由でラーメン屋になりたかったですね(笑) その後、好きなことを追求できる仕事として、大学教授になりたいと考えていました。高校を卒業して、3年間浪人生活をしたんですが、予備校に行くのが苦手だったので独学で勉強しました。
大学では心理学を専攻し、実際に教授と関わっていくなかで、大学教授が狭き門だということに気づきました。大学院ではなく、別の道に進もうとアルバイトを掛け持ちしながら模索しているときに「接客業をしていれば、この先どの業界でも生かせるんじゃないか」と思って、飲食店の道へ進むことにしたんです。
ーー前職の仕事について
20代後半になったとき、ふと周りを見て「ボーナスをもらう生活っていいな」と感じ始めました。そして、さらなるサービスを学べるホテルマンへと転職しました。面接を受けたらすぐ採用。宴会サービスや販売企画、広報にも幅広く携わりました。
ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?
ホテルで経験を積んでいた30代前半、夜勤が続くなかで自分の身体が持つのかどうか不安になりました。このまま続けていくべきかの岐路に立たされました。
そのとき考えたのが「好きなことをしていきたい」「生活のために勉強することは好きだ」という2点で、そこから「ありがとうと言ってもらえる瞬間って、なにかを解決したときじゃないか」という結論になりました。
解決する仕事として警察、弁護士…と調べていったら、ファイナンシャルプランナー、行政書士、司法書士という資格に行きつき、2002年から勉強を始めました。
ーー試験までの道のりを教えてください
とにかく独学でしたが、FPは1年で合格して2級まで取得、行政書士は少し時間がかかりましたね。そこから法律事務所に入って、働きながら法律を学ぶことにしました。
そのときは「司法書士になりたい」というよりは「まずは資格をとろう」という感覚でしたが、さまざまな書類を作成して、先輩事務員さんや弁護士にダメ出しされているうちに、実務経験から生きた法律の知識を学ぶことができました。
今になって思うと、法律事務所の事務員としてあらゆる書類の作成を徹底的に叩き込まれたり、打ち合わせの場に放り込まれて依頼者と話をつないだり…とにかく場数を踏んだ経験が生かされていますね。
ーー受験勉強や試験でのエピソードについて
2013年から勉強をはじめたんですが、結婚式で列席者に配る席次表に『あなたの10年後は?』という項目に街の法律家になる」と書いてしまっていたので「これは守らなきゃいけない」と思いました(笑)
ただ、お金も時間もなくて予備校には行けませんでしたし、答練などの模擬試験は申込先さえ知りませんでした(笑)ので、受けたこともありません。市販の有名テキストも購入しましたがなかなか受からないし、択一の基準点は超えるけど、記述が全く書けないという状態が3年くらい続いたので、最後の年に1年だけ通信講座を受けました。
アプリで講義の音源を毎日繰り返し聞いて「ひな形を頭の中に叩き込む」を徹底したおかげか、試験本番では時間が余るくらいでした。そして令和2年、コロナで試験が2ヶ月延期になるなど不安ななか、無事に合格しました。
ーー合格後について
合格発表は2ヶ月遅れの12月24日でした。感覚的に「今回は受かった」と思っていたので、前の日に司法書士法人に面接に行っていたんです(笑)
もともと事務所で2〜3年働いてから独立しようと考えていたんですが、1年経ったときにバタバタと状況が変わってしまいました。その時、僕は団体行動よりもひとりが向いているタイプなので、このタイミングで独立しようと思いました。
そして2022年6月に、この司法書士ANSリーガルオフィスを立ち上げました。
ーー司法書士のやりがいは?
司法書士=登記のイメージがあるかもしれませんが、意外と扱える業務は幅広いですね。自分にしかできないことができる。やっぱり街の法律家として役に立っていると実感できますね。
ーーオススメの本を教えてください
【要件事実マニュアル】
色々なパターンが書かれているので、定形外の案件に取り掛かるときに役立っています。
【三国志演義】
もともと中国の歴史が好きで、特に吉川英治さんの三国志が好きですね。
ーーポリシーや座右の銘を教えてください
好きな言葉は「鶏はただ1軒の農家のものである。しかし、鶏はすべての村人たちのために鳴く」ですね。
また、ご依頼は基本的に断らないのがポリシーです。なんとかしてあげたいと思っています。以前、弁護士さんに断られ続けてダメ元でうちに依頼にいらっしゃった方のご依頼をお受けして、とても喜んでいただいたことがあります。
人が生きている以上、揉めごとはなくなりません。愛知県だけでも年に数千件ある簡易裁判や本人訴訟も、普段法律に関わっていない方にとってはかなりの一大事です。苦労して認定司法書士になったのに、そこに関与していかないのはかなりもったいないことですよね。
ーー趣味はなんですか?
週に3〜4日はランニングをしています。朝に8km〜20kmほど走ることもありますし、各地のマラソン大会などにも出場しています。あと調理師免許を持っているので、作ってと言われたら中華でもイタリアンでもスイーツでもなんでも作ります。
ーー今後の目標は
今は、僕と事務員さん2人のこじんまりした事務所です。法律事務所にいた経験から、裁判業務全般をお受けすることができます。今後は法務顧問業にも取り組んでいけたらいいなと思っています。
伊藤先生、ありがとうございました!
取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)
インタビュアーより
ご自身のことを「大雑把で適当」とおっしゃる伊藤先生ですが、事務員さんから全否定されていました。逆に「おおらかな先生なので依頼者の方は話しやすく、仕事もとても早いです」というコメントをいただきました。サービス業で培った対応力と法律事務所で培った実務経験をもとに、裁判のご相談もしやすい先生です。
※インタビューの内容は2023年7月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。
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(希望者多数の場合、ご希望に沿えない場合もございますのでご了承ください。)
司法書士名 | 伊藤 彰英先生 |
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所属事務所 | 司法書士ANSリーガルオフィス |
住所 | 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3丁目20-5 オアシス日向807号 |
電話番号 | 052-211-9819 |
WEBアドレス | https://ans-legal.com/ |