浅井 健司先生
名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第35回目は、名古屋市東区にある「司法書士法人 浅井総合法務事務所」の浅井 健司先生のインタビューです。
ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?
小学校の頃までは正義の味方に憧れていましたが、世界征服を目指す悪の組織は見当たらないし、空も飛べない。そもそも平和主義タイプなので、戦うのは嫌だなと思って諦めました。
中学時代、本当の悪=ウイルスや病気だと考え、医療の分野を目指そうと思い直しました。でも高校に入ると、理系の男子比率の高さに青春を見出せず(笑)、自分の進むべき道は文系だと理解しました。
大学進学の学部を検討していたとき、文系で一番正義のイメージが強かった法律に惹かれました。ただ将来の仕事となると、やっぱりケンカや紛争は嫌いだし、口げんかも弱いし、争いに割って入りたいとも思わなかったので、トラブルが起らないようにする「予防法務の専門家」である司法書士を目指したいと考えました。
ーー試験までの道のりを教えてください
残念ながら法学部には受からなかったのですが、どうせ勉強するなら、浪人よりも司法書士試験の資格を目指そうと切り替えました。しかし、試験の難易度が高いことはわかっていたので、その準備として大学1年生の時に行政書士試験を受けて合格しました。その年の全国最年少合格だったはずです。
1日5時間〜10時間という大学受験の勉強量を維持し続けたのが良かったんだと思います。大学3年生の時には社会保険労務士試験にも合格しました。こちらも多分その年の全国最年少合格らしいです。
なので、司法書士の勉強をし始めたのは大学4年生のときになります。「やっとここ(スタート地点)まで辿り着いた」と思いました。必死に勉強して、勢いに乗って合格したかったのですが、そこから3年間上手くはいきませんでしたね。「もうここまでやって合格できないなら何かが違う、いったん気持ちを切り替えよう…こうなったら徹底的に逃げてみよう!」と、日本の真裏・南米へと旅に出ることにしたんです。
ーー南米での経験について
死ぬほど勉強すると誓いながら合格できなかったのは「自分が怠けていたせいだ」と考えていました。そして「よし、ならば本物の野生のナマケモノに会ってこよう」と(笑)。 今思えば無茶苦茶なアクションでしたが、おかげでいろいろ吹っ切れました。
ギアナ高地の奥地、落差1キロの滝(エンジェルフォール)を訪れたり、現地の警察から無用に拘束され賄賂を要求されたり、ワニを狩ったり、ピラニアを釣ったり、スラム街で迷子になったり、イスラエル軍兵士らと一緒に行動することになったりと…1ヶ月ちょっとでかなり濃い南米縦断が経験できました。
もちろんナマケモノも捕獲しました。リアルのナマケモノは非常に腕力が強く、爪も鋭く、自分を襲う相手に抱きつきながら爪を体の内臓まで差し込み死んでも離れないという怖い動物でした。他の動物が誰も襲わないという相当の実力を備えながらも、自由に怠けているように装い、その姿を広く認知されるほどで、努力に隙がなく、また、その肉も相当マズいという徹底ぶりに驚愕した次第です。
ナマケケモノはアマゾンの食物連鎖でオンリー1でナンバー1であり、リスペクトの対象かつ目標すべき存在だと感じました。旅行で人生や考え方が変わるとは感じていませんが、自分にとって良いスイッチが入ったんじゃないかなと思います。
ーー受験勉強や試験でのエピソードについて
これまで学んだ民法や不動産登記法の知識はアマゾン川に流してきてしまったので、日本に帰ってからは記憶の回収に苦戦しました。
勉強を再開するにしても社会には出ておきたいと思って、会計事務所、公務員、司法書士事務所と勤務しながら29歳で司法書士試験に合格できました。自分にとっての20代は、社会人になった同級生との格差や人生のステージの違いなどにも直面して…まさに暗黒期でしたね。
ーー合格後について
そのとき働いていた弁護士事務所で開業させていただき、登記業務をやりながらも、交通事故の部署の担当責任者として加害者の代理人である弁護士と保険会社をつなぐ役割などもしていました。
忙しくも居心地の良い環境で6年半くらい経験を積んで、独立しました。
ーー司法書士のやりがいは?
楽しくてやりがいがあって、正しいことをちゃんとやれば、きちんと喜んでいただける幸福産業です。誰かや自分を騙す必要もなく、無駄な駆け引きも喧嘩もないと思っています。
「グレー」なものを無理矢理「白」に見せたり、またそれが評価される環境って結構ストレスですよね。司法書士は、誠実に仕事をし続けられるのがやり甲斐であり、この仕事の自慢であり、プライドでもあります。
合格後十数年経過し、これまで多くの経験をさせていただきました。印象深いエピソードもたくさんありますが、依頼後数年たった後でも再依頼をいただいたり「ちょっと相談に乗ってほしい」と連絡をいただいたときは嬉しいですね。自分の仕事が役に立てたんだなと思える瞬間が好きです。
ーー印象的なエピソードは?
民事信託(家族信託)や遺産承継業務を受任することが多いので、富裕層の方や経営者の方からの依頼も多くあります。中には100億円以上の取引対応など刺激的な案件もあり、高額な案件を信頼して依頼していただけることにも感謝が尽きません。
また、遺言や財産管理業務をしていくなかで、人生のいろいろな場面にも遭遇します。遺言書作成後、数日で亡くなった方がいらっしゃり、悲しくもありますが本人の想いが叶えられてホッとしたり。逆に、依頼を受けたものの、公証役場の予約した日の前に亡くなってしまったケースもあります。
常に最善を尽くせるように努めていますが、もっと自分にできることがあったのではないか、自分にはもっと知識と行動力が必要だと思うこともよくあります。
ーーオススメの本を教えてください
ちゃっかりですが、私が執筆に携わった本を紹介させていただきます。諸先輩からお声掛けいただき、どれも思い出深いものばかりです。筆は遅いほうなので、毎回苦しめられていますね。
・ケースブック不動産登記実務の重要論点〔第2版〕共著 2017年9月(民事法研究会)
・よくわかる民事信託-基礎知識と実務のポイント 共著 2019年12月(ビジネス教育出版)
・信託フォーラム(日本加除出版)
ーー事務所の雰囲気はいかがですか?
司法書士が3名、社会保険労務士が1名、行政書士が2名、スタッフが10名ほど(累計・令和5年4月現在)の事務所です。総合法務事務所として各担当が専門知識を活かし、連携しながら、依頼者の期待値を超えられる提案や満足、安心をお届けできるように努めています。
手前味噌ですが、みんな優秀で業務の習熟度も高く、安心して一緒に仕事ができる自慢の仲間です。依頼者にとってはもちろん、僕自身が一番心強く思っているかもしれません。日常的に助けられることが多いので感謝が尽きず、頭も上がりませんね。
また、同フロアに葵町公証役場がありますので、遺言や任意後見、民事信託(家族信託)の作成には最も便利な事務所のひとつだと思います。広くキレイな事務所のほうがより良い仕事ができるだろうと、環境づくりにも気を配っています。依頼者の方にも安心して快適に過ごしていただきたいですしね。
ーー趣味はなんですか?
意外と言われますが…家庭菜園、ドライフラワー作り、あとは合法的な範囲内でいろいろと経験してみること!
特技は元気でいること、必要以上に悩まないこと、なんとかすること、大きな声を出すこと、宴会の盛り上げ。一応ですが日本拳法は有段者です。
ーー今後の目標は
事務所スタッフをはじめ、個々のお客様、同業の司法書士、税理士、弁護士や土地家屋調査士などの他士業、不動産業者さん、金融機関さんなど多くの依頼者に支えられ、ここまでトラブルを起こすことなく事務所運営ができています。今後もご恩に報いる役割を果たし、さらにこちらから還元できるような仕事を続けていければと思っています。
当事務所の強みである民事信託・家族信託の業務については、さらなる実務の集積・ノウハウの構築・レベルアップを進め、より社会的な満足に近づくものをつくり上げていきたいと考えています。地元名古屋の予防法務のインフラであれるように、地に足を付けてコツコツと信頼を積み上げていく所存です!
…と、大きな野望を掲げてしまいましたが、僕をはじめ司法書士法人浅井総合法務事務所は堅苦しい雰囲気ではないので、気軽なパートナーでいられたらいいなと思っています。
浅井先生、ありがとうございました!
取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)
インタビュアーより
大学時代に行政書士、社労士と立て続けに合格を果たした浅井先生。資格の勉強をしていることは誰にも言わず、遊びもバイトも部活も恋愛も謳歌していらっしゃったそうです。一見、要領が良く直感的に感じられるエピソードにも、実は逆算的な人生設計や緻密な計画性が感じられる素敵なインタビューでした。
※インタビューの内容は2023年3月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。
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(希望者多数の場合、ご希望に沿えない場合もございますのでご了承ください。)
司法書士名 | 浅井 健司先生 |
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所属事務所 | 司法書士法人 浅井総合法務事務所 |
住所 | 〒461-0002 名古屋市東区代官町35番16号 第一富士ビル3階 |
電話番号 | 052-508-7373 |
WEBアドレス | https://asaisogo.com/ |