高野 章先生

高野 章先生

名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第45回目は、名古屋市東区にある「柴山コンサルタント司法書士法人」の高野 章先生のインタビューです。

 

ーー子どもの頃の夢を教えてください

 

歴史が好きだったので、考古学者になりたかったですね。ただ、どういった事が起きて今の時代に繋がっているかという流れが好きなのであって、古代の遺物に興味があった訳ではないんです。今思うと、なんとなく響きがかっこ良く思えたのかもしれません(笑)

 

その頃は授業で憲法などが出てきても眠いだけでしたが、憲法ができた歴史背景を知ってからは興味が出てきました。


司法書士試験の科目に憲法が加わった時も「嫌だな」と思いましたが「法律家が憲法を知らないのは専門家と言えない」と教わり、納得したことを覚えています。

 

ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?

 

高校時代、将来や進路について考えたときに「世の中になくてはならないもので、この先も変わらず必要なものは何だろう?」という視点から「法律」を意識したのが始まりです。

 

当時は法律家と言えば弁護士で、ドラマなどでもカッコ良く描かれていて憧れる職業でした。ただ、裁判が中心の毎日は自分のメンタル的に相当疲弊しそうだし、試験内容も難易度が高いので、目指すだけのモチベーションが本当にあるのか?という疑問にぶつかりました。

 

そして、他の法律職を調べていた時に見つけたのが司法書士です。法律職なのにも関わらず争い事がメイン業務ではないのだというのが発見でした。

 

合格率は当時で3%ほどとハードルが高い資格だと思いましたが「それだけ価値のある資格なんだ」と、目指してみることにしました。

ーー卒業後や試験勉強について教えてください

 

卒業後、補助者として働ける司法書士事務所を探しましたが、当時は就職氷河期でした。インターネットもまだまだこれからという時代だったので、情報が無いなかで司法書士会に履歴書を送って、運良く就職をしたのが、 最初に勤めた個人事務所でした。

 

働きながらの試験勉強だったのでなかなか勉強スタイルも定まらず、思うように手応えを感じられないという回が続きました。しかし就職していたので「合格しないとマズイ」という切迫感がなく、いつの間にか受験が季節行事のような感覚になり、受けたり受けなかったりフワフワしていた気がします。

 

その間に宅建、行政書士、ビジネス実務法務検定、管理業務主任者、FP2級…と取得し、結婚して子どもが産まれて…と人生の段階も進んでいきました。

 

ーー補助者としてのステップアップについて

 

ちょうど二人目の娘が産まれたとき、ご縁あって現在の司法書士法人(柴山コンサルタント)に転職しました。もともと思いっきり仕事に取り組みたいという気持ちが大きくなっていたので、県内でも有数の大手事務所なら…と期待していましたが、予想通りなかなかハードな仕事量でした(笑)

そのため、今度は仕事が忙しくて試験勉強どころではないという状態となり、受験からは完全撤退です。 そこから役職も上がり業務範囲も広くなり、8年程は試験のことは全く考えられない忙しい毎日でした。

 

会社員の立場なら資格に重きを置く必要性はない…そう思っていましたが、次第に「どれだけ知識があっても、資格の無い者の言葉に信じられるだけの権威や根拠はなく、それは信頼を損なうものなのではないか?」といった気持ちが芽生え、もう一度試験に取り組んでみようと決意しました。

 

ーー働きながらの受験再開について

 

過去に試験を受けた頃とは違い、インターネットで勉強が進められるというのが再開を決断できた大きな理由です。仕事は相変わらず忙しく閑散期もないので残業は常でしたが、まとまった時間の確保ができなくても移動中に講義の音源を聞いたり、隙間時間で過去問を解くといったスタイルで何とか続けられました。

 

試験直前1ヵ月は、毎日1問ずつ記述問題だけは解くと決めて、勉強を再開してから3回目で合格できました。時間の使い方がかなりハードだったので、もっと時間のあるうちにやっておけば良かったと思いましたね。

 

ーー司法書士のやりがいは?

 

現在は新築・分譲の戸建て住宅に関する登記手続きがメインの業務です。大規模分譲地や大手ハウスメーカーの案件ばかりなので、とにかく量が多いです。

 

ただ、仕事のやり方は自分の裁量で進めており、初めて不動産を買う方が直面する不安や不明点に対して、ひとつひとつ丁寧にご説明し、喜んでいただけている点がやりがいと言えます。

 

ーー印象深いエピソードはありますか?

 

相続案件の依頼者より「相続手続きについて弁護士や税理士に放置されている」とご相談がありました。自身が高齢になりつつあるなかで、相続する物件を買いたい方もいるが手続きが進まなく困っているとのことでした。

 

そこで私が受託して遺産分割を進めていましたが、相続人のおひとりがとある事情で激怒されてしまい、協議が進まない状況になってしまいました。その方に電話連絡をしましたが話が進まなかったので、私が直接その方の元へ出向き、話や状況を聞いてこちらの事情も話をして…と進めたところ、和やかに遺産分割協議書に署名押印をいただけました。

 

やはり、会って話をしてお互いのことを知るというのは、どんな場面でも重視すべきと痛感した案件でした。

ーー苦労したエピソードはありますか?

 

現在の司法書士法人に入社した当初は、メインで新築マンションの手続き担当をしていました。以前の個人事務所でもやってはいましたが、規模が大きくなったことや関わる内容が登記に留まらないこと、お客様の属性もさまざまで融資先の金融機関の対応もバラバラ。

 

そんななかでの説明会準備や業者・金融機関との打ち合わせ、申請準備…と、特に繁忙期は休みも含めて対応が必要でした。大手ならではの仕事ですが「気付いてない落ち度があるのではないか」と気持ちが休まらない日々が続くのは、なかなかハードな状況でした。

 

現在の戸建て案件では、保留地や換地などの特殊な土地状況の案件が割と多くあり、知識・経験不足だったため色々と聞いて回って進めていたのが思い出です。その おかげで、今は特に関心を持つ分野となりました。

ーーポリシーや座右の銘を教えてください

 

相手のためにできることは限りなくやる、相手の期待を上回る、スピードを重視する。最近はメールや郵送だけで完結できることも多くなりましたが、やっぱり会うことを大切にしています。

 

自分がされて嬉しいことを相手にもするように心がけています。性格的なものもあるかもしれませんが、せっかく一期一会で出会えたご縁なので、せっかくなら気分が良い関係でありたいですからね。

ーーオススメの本を教えてください

 

司法書士資格を取得してから、現在携わっている仕事以外の分野も広げたいと思い、委員会に所属しました。そこで、最新の情報が得られればと【家庭の法と裁判】【信託フォーラム】 を購読しています。

また、歴史が好きで教科書には載らないようなストーリーを知りたくて読んだのが【占領神話の崩壊】、歴史と関連して日本人本来の性質を育んでいた思想が何だったのかに興味があり、読みたくなったのが【武士道】

他にも【脳と身体を最適化せよ】【脳と成功の科学】 といった健康系や脳科学などの本も読んでいます。

 

現在『Amazon audible』で自己啓発や習慣などの本を片っ端から聞いています。試験勉強の時から「聞く」というスタイルは合っているようで、このサービスのおかげでこの1ヵ月で 20 冊ほどを楽しめました。

ーー事務所の雰囲気はいかがですか?

大手法人でありながらもギスギスとした雰囲気もなく、割と自由に仕事を進めることができています。司法書士の在籍人数も多いので、困ったときや知らない点について相談がしやすいのは本当に助かります。

 

もちろん上司・部下の関係はありますが、気楽にコミュニケ ーションを取れる雰囲気があるので、関係性良く働ける事務所だと思っています。

ーー今後の目標は

 

日本の人口推移からすれば、今後は相続・独居老人・所在不明土地などの問題が多くなることが予想されます。

 

相続については、単なる登記だけを対応するのではなく、人的関係から発生する生前処分や遺言、生前から問題となる後見や身元保証、財産的な問題となる保険や税金関係も含めたさまざまな問題点に対処するべく、知識と経験を還元できるようになりたいですね。

ーー趣味や休日の過ごし方はなんですか?

 

大学時代にヘビメタやハードロックバンドを組んで、ボーカルやギターをやっていました。最近、再度挑戦してみようと、時間があるときに当時買ったギターを弾いています。ずっとやっていなかったので指の動きが悪いですが、脳トレと思って楽しんでいます。

それから、年齢とともに健康診断の結果が悪くなってきたのもあり、 6年前からジムに行き始めました。ここ2年ほどは試験勉強や仕事、研修でなかなか時間が取れませんでしたが、ようやく定期的に通うことができそうです。

 

また、中学生になる娘とはよく深夜アニメを見ています。漫画とアニメが大好きな子なので、季節ごとに変わる新作を楽しみにしたり終わってしまう番組を惜しんだりと、成長してもこうして一緒に過ごす時間があるのはとても嬉しいですね。

高野先生、ありがとうございました!

取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)

インタビュアーより
明治5年創立という歴史ある柴山コンサルタントで、補助者としてのサポート経験や現場での知識を活かし、司法書士へとステップアップされた高野先生。働きながらの受験勉強では「耳で聞く」という自身に合ったスタイルを見出し、実際の業務では「直接会う」といったスタンスで、感性豊かに依頼者に寄り添ってくださいます。

※インタビューの内容は2025年10月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。

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司法書士名 高野 章先生
所属事務所 柴山コンサルタント司法書士法人
住所 〒461-0011
愛知県名古屋市東区白壁1丁目69
電話番号 052-961-0022
WEBアドレス https://shiho.shibayama-consul.co.jp/

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