野田 啓紀先生
名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第42回目は、名古屋市中区にある「グラーティア司法書士法人」の野田 啓紀先生のインタビューです。
ーー子どもの頃の夢はなんでしたか?
小学生の頃は、自分のお店を持ってみたくてオーナーシェフに憧れていました。その後、中学生になって渡辺篤史さんの『建もの探訪』を見て、建築家にも興味を持ちましたね。
ーーどんな学生時代でしたか?
ちょっとやんちゃな地域で生まれ育ったので、退屈な少年時代でした(笑) そこで明和高校に進学したんですが、1年の夏に勉強につまづきそうになったことがあって、思いきって勉強方法を変えてみたんです。授業を真面目にすべて理解するんじゃなくて、問題集で網羅されている出題パターンを押さえてしまえば、ここからしか出題されないんだと。
つまり「考えるの面倒くさいから全部覚えてしまえ!」ってことなんですけど、問題の組み合わせや解法パターンを理解したことで、スムーズに進むようになりました。卒業後は、地元とは違うところでチャレンジしたいと京都大学の法学部へと進学しました。
大学時代は楽しかったですね。学生食堂でバイトをして夜も遊んで…昼間は寝ていたので、当時は法律の勉強をほとんどしていなかった気がします(笑)
ーーー前職について教えてください
当時、いわゆるITベンチャー系が流行っていた頃で、私は上場企業の管理部門に新卒で入社しました。20代中心の東京本社で、コンプライアンスなんて言葉も当然なく毎日が長時間労働…ただ、そんな無茶苦茶な状況の中でも組織を保ち、問題の発見と解決をしていくことに徹底していました。ここでの経験のおかげでかなり体力がついたと思います。
とは言え、いつまでも働いていられるような環境でもなく…その後は大阪本社の老舗化学メーカーの総務部へ転職しました。希望していた総務部のポジションが空いたのが転機でしたね。
ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?
もともと「会社員をするのは30歳まで」と決めていました。このまま長く勤めたら、どんなポジションや未来が待っているかが予測できてしまって、20代の私は「別に面白くないな」と感じたんです(笑) 結局は向いていなかったんでしょうね。
そこで、自営業ができる国家資格取得を検討して、実務経験が必要なく、短期間で筆記試験のみで合格できる資格として司法書士を選択しました。
ーー資格予備校について
早く合格するためにはプロに学んだほうが早いと、通信の資格予備校に申し込みました。この試験は、学者になる勉強をするのではなくて、どこまでいっても試験に合格するための技術を身につけるのが大切。ノウハウを持っているところで学ぶのが良いと思いますね。
だって、1年合格が遅れたら、1年分の収入がなくなるんです。予備校代なんて、試験に受かればすぐに取り返せますから、なるべく無駄のない勉強をすることをおすすめします。
ーー受験勉強や試験でのエピソードについて
最初は、終電近くまで働いて、帰ってきて深夜から勉強するという生活を1年続けました。このままではいけないと会社をやめて、そこからは勉強に専念する生活へと切り替えました。
1回目の試験は、あと2〜3問足りないくらい。つかんだことを2年目の勉強に反映しましたが、2回目の試験は全体的に点数が高かった年で、あと1問足りませんでした。私の場合、全体の平均点や難易度に関わらず取る点数が変わらない勉強の仕方をしているので、難しい時の方が有利な環境なんです。
そして、次の年はやはり試験の難易度が上がったことで合格。高校時代に培った「出題パターンを見極める」というスタイルが、ここでも活かされました。
ーーこれから受験される方へのアドバイスを
テキストの1ページ目から真面目に読む必要はないです。ノートに六法を書き写す必要もないです。とにかく過去問を解きまくってください。解けないところだけテキストを読んでください。
そうすると、この論点は大体2〜3年に1回は絶対出てるとか、 ここは5年に1回しか出ないとか、この問題は改正直前は絶対出ないとかっていうルールや法則性が必ずあるんです。不動産登記法だけはちょっと予想がしづらいんですが、その年の試験委員が誰で、その方の主張はどんなもので、上司に説明するためにどんな問題を組み立てるのかを、出題側に立って考えてみるのもいいかもしれませんね。
ーー合格後について
平成26年に合格して、業界や仕事の流れを知るために名古屋市内の事務所で働きました。ハウスメーカーとのつながりが深く不動産系の依頼が多い事務所でしたが、私は商業登記や裁判、相続などを率先してやっていましたね。
そこで4年働いて、平成30年に自宅の一室で独立しました。最初は暇だったので飛び込み営業やポスティングもひたすらしていましたね。また、ビジネス交流会などで色んな方とつながりながら、だんだんと軌道に乗っていきました。
ーー司法書士業務や業界について
一般企業を経験しているせいか、この業界はまだまだ遅れているなと感じる部分があります。また、司法書士は「あくまでもサービス業」。お客様への態度や対応などを間違うことがないようにしないといけないですね。
ーー司法書士のやりがいは?
私たちの人生は多様化し、長い人生で変わりゆくライフステージに合わせて、専門家の能力が求められています。私たちは法律専門職として、高度な知見や倫理観を世のために活かすべきです。
個人的には、私の名前をどこかで見聞きして救いを求めてきた方は必ず助けます。己の能力で、他人の人生やビジネスに関与し、貢献できたときに、専門家として誇らしく思います。
ーー事務所の雰囲気や強みはなんですか?
騒がしいのを好まないので、静かに業務にあたっています。顧客からの連絡のほとんどは直接私のところにくるので、事務所の電話が鳴ることもあまりありません。
また、事務所が大きくなろうがスタッフが増えようが、私がお客様の対応をします。スタッフ任せにしたり担当制をとる事務所があると聞いたことがありますが、それでは信頼して依頼してくださったお客様の期待には応えられないと考えています。
関連業界と連携しながら仕事を創出していくことにこだわり、周囲を忙しくすることで反射的に司法書士の仕事が増えるような仕掛けや座組をつくっています。近頃は、相続や終活などシニアの皆様からの相談を取り扱うことも多くなりましたね。
ーーポリシーや座右の銘を教えてください
照宇一隅(しょうういちぐう/いちぐうをてらす)です。天台宗の言葉なんですけれど「1人ひとりが自分のできるところで頑張ると、それが繋がってこの世界が明るく照らされていきますよ」という意味です。
人に何かを求めるのではなく、半径5メートルの人たちに貢献し、幸せにできたら良い世の中になるはずです。決して無理をしなくても、誰もが必要とされる世の中になっていかないとおかしいと思っています。
ーーオススメの本を教えてください
「白い巨塔(著/山口豊子)」は、田宮二郎さんのドラマを見てから書籍を読みました。正義の立ち位置が人によって違い、その正義を貫いていく様子を遠慮なく剥き出しに描いているところに爽快感を感じます。
また「珈琲店タレーランの事件簿(著/岡崎琢磨)」は、京都にある喫茶店のマスターと相方との会話を中心に展開していくミステリーです。京都が舞台の作品にはやっぱり惹かれますね。
ーー趣味はなんですか?
ここ2年ほどカメラ教室に通っていて、事務所にも私の作品が飾ってあります。定期的に入れ替えもしていますよ。
また、食べることも料理をすることも好きです。週に2〜3回、自分が食べたいものを作るというスタイルですが、特にカレーは肉と野菜でちゃんとスープを作るなどしてこだわっています。
ーー今後の目標は
現在、ここ名古屋市中区の他にみよし市と岡崎市に3拠点ありますが、3年以内に司法書士法人の売上1億円を目指したいですね。また、不動産を手放したい方に向けてのプロジェクトも進行中です。
司法書士はまだまだ世の中から求められていて、やれることがたくさんあります。これからもご依頼者の声を直接聞き、他士業の方や仲間と協力しながら解決へと導きたいですね。
また、プライベートでは写真作品をギャラリー展への出展も目指しています。
野田先生、ありがとうございました!
取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)
インタビュアーより
野田先生は司法書士としての知識、経験、姿勢がピカイチなのはもちろん、包み込んでくれるような話し方と癒しの美声が印象的です!きっと依頼者さんたちは安心してお任せすることができると確信しました。定期配信されているnoteでもお人柄をうかがえますよ。記事内には、先生が撮影した素敵なお写真を多数掲載させていただきました。
※インタビューの内容は2024年2月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。
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(希望者多数の場合、ご希望に沿えない場合もございますのでご了承ください。)
司法書士名 | 野田 啓紀先生 |
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所属事務所 | グラーティア司法書士法人 |
住所 | 〒460-0008 名古屋市中区栄2丁目3番18号 稲名ビル3B |
電話番号 | 052-211-9942 |
WEBアドレス | https://gratia-s.jp/ |