稲葉 雄司先生、遊垣 泰宏先生
名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第39回目は、名古屋市北区にある「ゆう司法書士法人」の稲葉 雄司先生と遊垣 泰宏のインタビューです。
ーー合同事務所を設立した経緯は
稲葉先生:僕たちは年齢は違いますが、合格した年が同じなんです。司法書士試験に合格すると、冬の短い間に密な研修があるんです。その時によく一緒にいて、 仲も良かったのが最初のきっかけです。
遊垣先生:それぞれが約3年間別の事務所で働いてから、先に稲葉先生が独立して、僕が合流した形になります。共同事務所として一緒にスタートしたのが2016年ですね。
稲葉先生:付き合いはもう10年になります。僕が望んでいるのは芸人コンビのサンドイッチマン的な関係で、お互いに誕生日プレゼントを渡したりしたいんです。今はビジネスライクな関係になってしまいました(笑)
遊垣先生:今年はプレゼント渡したじゃないですか(笑)僕はダウンタウン派ですね、ビジネスのための関係です。
稲葉先生:またそんなこと言って。
ーー学生時代について
稲葉先生:大学進学を考えるときに、木村拓哉さんのドラマ『HERO』をやっていたんです。もともと知らないことで損するのは嫌だなっていう思いがあって、仕事してハッピーにできるんだったらありじゃないかと弁護士を志しました。僕は別にドラマがきっかけではないですよ(笑)でも当時は、法学部の受験者数がめちゃめちゃ多かったですね。
遊垣先生:僕も大学が法学部でしたが、入学当時は特に法律関係の仕事に就きたいという思いはなく…入れたのが法学部だったというだけでした。周りに法曹系を目指す友人も少なかったので、当時は単位を取るために学んでいた感じです。
稲葉先生:インターンで司法書士事務所に行った時に、法律業界は面白いけれど、他の業界も見て視野を広くしたいと思ったんです。そこで卒業後は、東京の不動産系の企業に就職しました。
ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?
遊垣先生:リーマンショック後で良い就職先が望めないなか、親から「資格でも取ったら?」と言われたのがきっかけです。新卒のカードがなくなるなら難しい資格をと思って、4年生のときに大学の司法書士講座を受けたのがきっかけです。
稲葉先生:僕は、不動産業界には転職前提で力をつけるために入りましたが、大きなお金を動かしているうちに感覚が鈍ってしまうんじゃないかと思って、個人事業主に憧れました。そのなかで、これまで学んだことと不動産の知識が活かせると思って、司法書士に注目しました。
遊垣先生:当時は司法書士がなにをやるのか、どんな仕事なのか全くわかっていませんでした。実は勉強を始めてからもまだ未知の職業でしたが、もうやるしかないという感じでしたね。
ーー試験までの道のりを教えてください
遊垣先生:大学卒業後も司法書士講座に顔を出しながら、バーテンダーをして半年お金を貯めて、また半年間引きこもって勉強をするというスタイルでした。
稲葉先生:実は僕も学生時代にバーテンダーをしていて、不動産会社を退職してすぐに声を掛けていただいて、飲食業界の会社を立ち上げようと動いていました。その矢先、東日本大震災が起こってすべての計画がストップ。止まっている時間がもったいないので、予備校の司法書士講座の資料での自習をスタートしました。
遊垣先生:僕も基本的に自習スタイルでしたね。1回目の受験で想像以上に良い点数が取れたので、そのままの勉強スタイルを継続しました。
稲葉先生:僕は受験中に司法書士事務所に就職したので、平日は1〜2時間くらいしか勉強できませんでした。予備校でもらったDVDを何度も見て復習しましたね。周りには法学部卒業の華々しい経歴の友達が多かったので、プレッシャーもありました。
遊垣先生:25歳で受かりましたが、受かった年は自己採点もしてないです。やっても結果は変わらないので(笑)
稲葉先生:受かった年は泣きました。
ーー合格後について
遊垣先生:法務局に合格者が集められたときにはじめて稲葉先生に会いました。第一印象は「でかいな」と思いましたね(笑)
稲葉先生:なんか交友を深めないといけない雰囲気だったので、ご飯に行こうと誘いました。当時はよく遊んだし、先輩を立ててくれるいい奴だったのに(笑)その後、僕が3年目で独立するときにお互いにタイミングが合って、離れることもなく今に至るという感じですね。
ーーお互いに尊敬しているところは?
稲葉先生:遊垣先生はこう見えてすごくしっかりしているんです。しっかり勉強して、調べて、いろいろな悩みをちゃんと解決する。商売ではなくて、町に一人いる司法書士屋さんが彼です。あとは、性善説に立って人を信用できる人ですね。
遊垣先生:いやいや。
稲葉先生:……僕の良いところは全然言ってくれない(笑)
ーー司法書士のやりがいは?
稲葉先生:地方の法務局に行くなどアクティブに動けると思っていましたが、オンライン登記になったことで、外に出る機会が減って寂しいです。また、もともとは不動産の知識を活かして…と思っていましたが、意外と登記が楽しくなってきちゃったというところです。
遊垣先生:僕は社会に出るのが初めてなので、こうやって世の中動いているんだな、自分のやっていることがこうやって役立っているんだなと実感しています。司法書士の仕事は、調べて出した答えが形になっていくのが楽しいですね。
稲葉先生:相続の場合、お客様は何が分からないかも分からない状態です。そのなかで相続の「交通整理」をしながら、登記だけでない問題を解決していきます。細かい話をするよりも、安心していただけるように心がけています。
遊垣先生:お客様に感謝していただいたときは嬉しいですね。
稲葉先生:すべての手続きが終わった後、お客様から「ありがとう」や「先生に頼んでよかった」とお言葉をいただいたときは、やりがいのある仕事だなと感じます。
ーー印象深いエピソードについて
稲葉先生:お母様が3人のお子様に対して「遺産をすべてお金に換えて3分の1ずつ相続させる」という遺言書を作成するお手伝いをして、揉めることなくスムーズに相続手続きができました。法律的には残しても残さなくても結果は変わらなかったかもしれませんが、本来の遺言書としての意味のある仕事をさせていただいたな、と印象に残っています。
遊垣先生:3年がかりの相続など、長期で関わらせていただいたご相談が無事に終わったことですね。
ーー特に力を入れている分野はなんですか?
稲葉先生:相続分野です。登記だけでなく、周辺業務や遺言書の作成など相続の中でも仕事は多岐にわたります。亡くなった後の「相続手続き」はもちろんのこと、信託や遺言書など亡くなる前の「準備」でできることをしっかりとお手伝いしています。また、ただの手続き屋さんじゃなくて、問題解決やコンサル的に深い関わりができるところが、差別化になっていると思います。
ーーオススメの本を教えてください
稲葉先生:「自分の会社をつくるということ(経澤 香保子)」
中古でたまたま手にとったんですが、面白くて何度も読みました。付箋もマーカーもたくさんついています。司法書士の本だけ読んでいると世の中とずれてしまいそうなので、経営系の本なども読むようにしています。
遊垣先生:「疾風伝説 特攻の拓(佐木 飛朗斗・ 所 十三)」
最近バイクの免許を取ったこともあり、誕生日に稲葉先生からプレゼントしてもらいました。決して暴走族ではなかったんですが、読むと反骨精神がみなぎりますね。男はやっぱり熱くないといけないですね。
ーーポリシーや座右の銘を教えてください
稲葉先生:「take it easy!」
遊垣先生:「なるようになるさ」、偶然にも同じですね。
ーー今後の目標は
稲葉先生:司法書士という敷居を低くして、アクセスしやすい業界にしていきたいですね。
遊垣先生:三方良し、ですね。
稲葉先生、遊垣先生ありがとうございました!
取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)
インタビュアーより
「お互いに合わないところがなかった」と合同事務所を運営されているおふたり。事務所にゲーム機の64が置いてあったり、誕生日プレゼントの話では「デニム渡したのに履いてない」「洗濯したら返せとか面倒くさい」などのやりとりもあり、事務所の明るさとまっすぐさ、おふたりの関係性の良さが伝わりました。
※インタビューの内容は2023年10月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。
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司法書士名 | 稲葉 雄司先生、遊垣 泰宏先生 |
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所属事務所 | ゆう司法書士事務所 |
住所 | 〒462-0843 愛知県名古屋市北区田幡2丁目12−14 明治安田生命黒川ビル 5階南 |
電話番号 | 052-910-3144 |
WEBアドレス | https://anshin-shiho-shoshi.com/ |