近藤 春佳先生

近藤 春佳先生

名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第32回目は、名古屋市中区にある「はるか司法書士事務所」の近藤春佳先生のインタビューです。

 

ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?

 

大学卒業後、保育施設をつくり経営する仕事をしていました。仕事は厳しく、15時間労働があたりまえ。1日4時間睡眠といった毎日過酷な環境で…。さらに「利益を追求するためにはなんでもやる」という会社の考えに疑問を抱くようになり「正しいことができる仕事がしたい」と思ったのが司法書士を目指したきっかけです。

 

退職当時、東京の高田馬場に住んでいたのですが、そこに「ピースボートクルーズ」という世界各地をめぐる船旅の本部があったんです。チラシを見る機会も多く気になっていたので、すぐに一人で参加しました。

 

実は大学時代、北海道で農業を体験する農業インターンシップに参加したことがあったんですが、そこでさまざまな人と出会い仲良くなることの楽しさを知っていたので、ピースボートも人付き合いが大好きな私にはぴったりだと思ったんです。実際に全国各地のさまざまな人と仲良くなれて「この人達と今後もつながり続けるためには、司法書士として法律家になれば連絡は途切れないだろう」と考えました。

 

この出来事も強く司法書士を志した理由のひとつですね。ピースボートに参加しなければ、もしかしたら司法書士になっていなかったかもしれません。当時の仲間たちとは今も仲が良く、最近も一緒にリトルワールドに遊びに行きました。

 

世界一周の旅で仲良くなった20年来の友人たちと

 

振り返ると、私は人との出会いが大好きなんです。出会った人の相談にのって解決に導くなど、人の役に立ちたいという気持ちが強くて。だからこそ、司法書士という仕事を通して多くの人の役に立ちたいと考えました。

 

ーー試験までの道のりを教えてください

 

地元名古屋に戻り、資格取得支援予備校に通いました。昼間は派遣でコールセンターの仕事をして、夜は勉強の毎日。働いたお金はすべて講義につぎ込んでいたのでお金もないし、苦学生でした。

 

合格する自信があった3回目の挑戦時、試験形式がガラッと変わったことに対応できず、まさかの不合格に。そこで思わず、会計士をしている大学の後輩に泣きついたら「それでも対応しないと受からないよ」と一蹴されてしまって。でもおかげで前向きに切り替えることができ、翌年合格することができました。

 

ーー合格後について

 

前職の保育施設をつくる仕事で不動産を巡り物件を探していた関係から、不動産の仕事にも興味がありました。それもあり、合格後就職した司法書士事務所では、不動産登記を数多くこなしました。約8年間勤めて途中出産もしましたが、産後4ヶ月で復帰するなどバリバリ働きましたね。

 

不動産登記の仕事は好きでしたが、同じことを続けていても司法書士として成長しないのではと考え、5年前に独立。子どももいるので、独立することで融通を利かせたいという気持ちもありました。

 

同期合格者たちとの意見交換会兼慰労会

 

ーーはるか司法書士事務所の業務について

 

 

今も不動産登記の仕事は続けていますが、主に商業登記と相続が多いですね。とくに相続、終活のお手伝いに力を入れています。

「亡くなった後のことは関係ないから、子どもたちで決めて」と言う方も少なくないのですが、少額の遺産でも、残念ながら兄弟間で揉めたりギクシャクしてしまうことが多々あります。子どもはお金で親からの愛情を量ってしまうんですね。お金が欲しいわけではなく気持ちの問題です。

 

遺言書を残すことで未然に争いを防ぐことができ、その後の兄弟関係も穏やかになります。権利関係をふくめ、自分のもの、お金、人間関係をどう終わらせるかを一緒に考えて、残された人が困らないように形を整える。一人ひとりを大切に、最後までお手伝いをしていきたいです。

 

ーーウィメンズパートナー組織の一員として

 

ジェンダーレスの時代ではありますが、悩みを抱える女性は、あえて女性に相談したいという方が多いと思います。とくにプライベートなお話は、同性だと安心して話せますよね。そこで、女性だけの地域密着相談窓口「ウィメンズパートナー」の一員として「女性のための相続」サポートもしています。

 

チームメンバーは全員女性。司法書士以外にも税理士や宅建士、ファイナルシャルプランナーをはじめ、遺品整理、解体業、保険業などさまざまな分野のプロが集まり、悩みに応じて相談にのっています。

 

月1で勉強会を行っていますが、難しいのは、相談に来る時にはすでに悩みが深まっていることです。事前に対策しておけばスムーズだったという案件が多いからこそ、今後はセミナーなどを通して事前に相続に関する知識や必要性を伝えていきたいですね。

 

ーー司法書士のやりがいは?

 

「出会い」に尽きます。自分の生き方のヒントをくださる方と出会えるのも、司法書士だからこそ。

110歳まで生きた方が、身の回りをとてもきれいな状態にしたうえで亡くなられたことがありました。お金も、なにもかも。残されたお子さま方は何も揉めることなく感謝されていて、とても素敵な生き方だなと感じました。

 

このように、お客さまの生き方や姿勢、お金の使い方など、学ぶことは本当に多いですね。さらに私の仕事に感謝されるという相互利益の関係に、やりがいも感じます。

 

また、司法書士界の先輩や同期との出会いも貴重な財産です。学ぶことをやめず常に挑戦し続ける先輩方を見て、私も刺激をいただいています。

 

ーーポリシーや座右の銘を教えてください

 

「まずは自分が満たされていること」

 

「良いものを夫に」「お母さんなんだから我慢」など、自分を後回しにしてしまう方もいらっしゃいますよね。でも私は、我慢して心がガサガサした状態で過ごしていても周りの人にやさしくできないと思うんです。

 

まずは自分が満たされることが大切。自分が満たされることで、仕事でも家庭でも人間関係でも人にやさしくできます。もちろん私も暗い相談に応じる時などは「負の雰囲気にもっていかれちゃうな」と感じることも。仕事に子育てに忙しいですが、あえて時間をつくって自分を満たすようにしています。

 

ーー趣味はなんですか?

 

大学のサークル仲間と久しぶりにテニス

 

3年ほど前から友だちが運営しているオンラインヨガサービスでヨガをはじめました。ヨガって、難しいポーズをすることが目的ではなくて、すべては自分との戦いなんです。ヨガを通して自分と向き合い、精神を統一しています。

 

また大学時代サークルでやっていたテニスも再開。今はテニススクールに通っています。最初は、お年寄りと仲良くなって仕事にもつなげられるかも…?なんて気持ちもあったんですが(笑) 今はテニスをすること自体が楽しいです。この間、初級から初中級へと級が上がったんです!

 

大人になると、上達を実感したり人から褒められることってあまりありません。でもスポーツを通すと、目に見えて上達したりコーチから褒められることも多く、満たされます。このように自分を大切にできる時間を、大切にしています。

 

ーーオススメの本を教えてください

 

 

【DIE WITH ZERO】はお金の使うタイミングや正しい使い方が分かる本。お金って、捉え方や使い方によって、他人にも大きく影響を及ぼすんです。貯めるだけでなく、どう使うかを考えることができます。

 

【嫌われる勇気】は、自分らしく生きられる本。実は私は人によく思われたいタイプなのですが、全ての人に好かれる必要はない、心地の悪いコミュニティは手放せば良いのです。人との向き合い方がよくわかる本です

 

【「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略】は、日頃もやもやしている事を文章ではっきり表してくれて、気づきを与えてくれる本です

 

ーー今後の目標は

 

 

いずれは事務所を大きくして、組織をつくりたいです。

人を雇うとなると大きな責任が生じます。今はまだ子育てもあるので、子どもが大きくなって余裕ができたら組織化して、仲間と一緒に成長していける関係をつくりあげたいです。

 

あとは、法律教室などの社会貢献もしていきたいですね。今は年3回ほど専門学校で法律を教えているんですが、そのなかの小話として、ネットワークビジネスなど若者が知っていて損はない知識を伝えています。

18歳成人となり、より未熟な若者が簡単に契約できてしまう時代になりました。身を守る法律の知識をもっと本格的に伝えていきたいです。

 

また、私の尊敬する司法書士の先輩に外山先生という方がいらっしゃいます。正義を貫く心が美しい女性で、女性のための相談会や児童養護施設での法律教室など、法律を通して多くの社会貢献を行っていらっしゃいます。子育てが落ち着いたら、私も一緒に活動させていただきたいと思っています。

 

近藤先生、ありがとうございました!

 

 

取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)

インタビュアーより

世界中を旅されたという貴重な経験をお持ちの近藤先生。古くからのご縁を大切に、誠実にお客さまの手助けとなる仕事をされていました。ご自身や周りの方を大切にされる近藤先生だからこそ、座右の銘「まずは自分が満たされていること」が心に響きました。優しさの中に芯がある、素敵な先生でした。

 

※インタビューの内容は2022年2月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。

 

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(希望者多数の場合、ご希望に沿えない場合もございますのでご了承ください。)

司法書士名 近藤 春佳先生
所属事務所 はるか司法書士事務所
住所 〒460-0011
名古屋市中区大須二丁目9番6号
電話番号 052-265-8129
WEBアドレス http://haruka-office.com/

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