中原 有思 先生
名古屋中央支部に所属する先生方にインタビューするこの企画。第18回目は、名古屋市中区にある「司法書士法人 サルビア事務所」の中原 有思先生のインタビューです。
ーー「有思」さんという素敵なお名前の由来はなんですか?
父が学生時代にフランスに留学していたということもあって、哲学者デカルトの名言「われ思う、故に我あり」から名付けられたと聞いています。
ーー司法書士を目指したきっかけはなんですか?
政治部の新聞記者だった父が、名誉毀損で訴えられてしまったことがあったんです。その経緯などを聞いていたこともあり法律に興味を持ちました。
当時、神戸大学法学部には権威のある先生が多く、その中でも戦後日本の外交史に関する権威である「五百旗頭 真(いおきべ まこと)」教授には、父の影響で高校生のときから興味がありました。そこで「権威のある教授の授業が聞きたい」という思いと「司法試験の合格率が高い大学に行って法曹三者(弁護士・検察官・裁判官)になりたい」という思いから、神戸大学 法学部へと進学したんです。
しかし、弁護士や検察官などは実際に仕事として考えると性に合わない気がして……自分には、事実に基づいて手続きを行う司法書士が向いていると思ったんです。
ーー試験までの道のりを教えてください
3回生の時に、まずは1回試験を受けてみようと挑戦しました。そして4回生のときに受験をして、卒業後も兵庫県西宮市の司法書士事務所で補助者として働きながら試験に臨み、3回目の受験で合格しました。
ーーどのような試験勉強をしましたか?
9時から18時まで仕事をして、自宅に帰ってからは3時間くらい。朝は4時頃から最寄り駅近くのマクドナルドで勉強して、始発で事務所に向かって業務開始まで勉強……というスタイルです。
3回目の受験では手応えを感じましたが、怖くて自己採点できませんでした(笑)
代わりに勤務先の司法書士の先生が採点してくださって「大丈夫、多分合格してるよ」という返答をもらってようやく安心しました。
実際の合格発表までの間は、直近で行われる行政書士試験の勉強をして過ごしましたね。
ーー合格後について
大好きな神戸でそのまま就職することも考えましたが、先生方から「いつか独立を考えているなら、地元(名古屋)の方が絶対いい」と、愛知県春日井市の徳山先生(徳山司法書士事務所)をご紹介いただきました。
徳山先生と事務の方だけの事務所に、新人の僕。業務としては、先生が客先と打合せをして作成した書類のアウトラインを渡されて、僕が細かな部分を詰めていくような感じで、自分で考えたり解釈する場面が多かったのでとても勉強になりました。
もともと3年は勤めようと思っていましたが、その3年は追いついていくのに必死でしたね。
ーー独立について
ちょうど30歳という節目の年でもあった6年目に、知り合いの不動産関係の方が独立するという話を聞いて、自分も力を試したい、独立したいと思うようになり、独立しました。
今は、僕と新人の司法書士と事務の方の3人。まさにかつての徳山事務所と同じスタイルです。
最初に勤めた事務所での経験は自然とその後に影響するので、どこで経験を積むのかは重要ですね。
ーー司法書士のやりがいは?
「他の事務所では断られたのに……」という案件を遂行したときですね。
僕は「これは司法書士の仕事じゃない」とか「ここまでしかできない、わからない」と遮断するやり方ではなく、気づきや幅を持って先手を打つことで、お客さまにも多くの選択肢をお見せすることができると考えています。
例えば、手順が1〜5まであって自分は4だけを担当するときでも、1〜3をわかっていないといけないし、5へ続くために何が必要か考えて、しっかりと整えて渡す。さらには、今後想定される6や7の選択肢も示せたらベストですよね。
「気づいてくれてありがとうね」と言っていただけるとやりがいを感じます。当然、業種ごとの境はありますが、手続きの全てがわかっているのは司法書士の強みだと思っています。
ーーポリシーや座右の銘を教えてください
「質実剛健」ですね。
あとは「あんたが一番、私が二番」という考え方にも共感します。相手がこう動いたら自分がこう動いて、こうしたら相手はこう考えるだろうな……ということばかり考えている気がします。
僕たちは考えることが仕事なので、考えることをやめたら終わりだと思っています。
若手のうちは忙しくて、新しいことや知識を得るためのエネルギーが残っていないかもしれませんが、月に1回は立ち止まって振り返る時間をつくるといいと思います。
ーーオススメの本を教えてください
徳山先生も一部執筆された本で、
「在日」の家族法Q&A / 「定住外国人と家族法」研究会
ですね。
兵庫県西宮市の事務所も徳山事務所も、通常の業務に加えて特に在日韓国人の相続問題に取り組んでいたので、こうしたイレギュラーな案件も、僕にとってはレギュラーでした。
ーー事務所の雰囲気はいかがですか?
3人で頑張っている事務所なので、バタバタしています。僕は相談に乗ったり話をすることが好きなので、外に出ていることが多いですね。
ーー趣味や特技はありますか?
小さい頃からサッカー少年でした。休みの日に時間があるときは映画鑑賞をしています。「ショーシャンクの空に」がお気に入りです。
ーー今後の目標は
目の前の困っている人をちゃんと助けたいですね。
司法書士という資格は、弁護士や税理士の影に隠れているようなニッチさがあるかもしれませんが、全体を俯瞰できて掛け橋的な存在になれる唯一の資格です。
「実は、司法書士はここまでできるんだよ!」という業界自体の未来開拓をして、いつか情熱大陸に出たいですね(笑)
中原先生、ありがとうございました!
取材/テキスト ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)
インタビュアーより
「小さい頃の夢は警察官かパイロットだった」という中原先生。自身の業務に加えて本会の理事も務めておられ、業界の意識改革まで視野に入れた活動をされています。優しく話しやすい雰囲気と、先読みで依頼者を迷わせない信念を持つ、正義感が強く信頼できる先生です。
※インタビューの内容は2022年8月取材時のものです。最新の状況は事務所に直接お問い合わせいただくか、司法書士名古屋中央支部へお問い合わせください。
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司法書士名 | 中原 有思 先生 |
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所属事務所 | 司法書士法人 サルビア事務所 |
住所 | 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内2-18-22 三博ビル707号 |
電話番号 | 052-253-8639 |
WEBアドレス | http://nakahara-houmu.com/ |